航空情報2009年8月号 关于J/APG-1雷达问题的文章

来源:百度文库 编辑:超级军网 时间:2024/04/29 13:43:33
F-2戦闘機の搭載レーダーJ/APG-1については、あまり確かな情報が出ていません。初期不具合が伝えられていた頃は「戦闘機

サイズの目標で探知範囲が20nm程度しかない」という絶望的な数字が報道されていました。nmとはノーティカル・マイルの事

で海里(1.852km)の事ですから、20nmでは37km程度の探知距離しか無かった事になります。

ところが最近の情報ではJ/APG-1について「戦闘機サイズの目標で探知距離35nm(ルックダウン時)」という数値が出ていま

す。この数値が各航空専門誌で書かれています。ルックダウンで35nm(65km)の探知距離があるなら、通常高度への目標には

それ以上の探知距離を発揮できます。以下は参考までに、F-16の初期型に搭載されたレーダー、AN/APG-66のデータです。



APG-66(V) - Archived 10/2004 | Forecast International
--------------------------------------------------------------------------------
Range 80 nm (max)
Look-down 20 - 30 nm
Look-up 25 - 40 nm
--------------------------------------------------------------------------------



そして次はF-16に現在搭載されているAN/APG-68のデータです。ソースはブリタニカ百科事典電子版のレーダーの項目からで

す。



radar (electronics) :: Examples of radar systems -- Britannica Online Encyclopedia
--------------------------------------------------------------------------------
The AN/APG-68(V)XM radar built for the U.S. F-16 (C/D) fighter is shown in the photograph. This is a pulse

Doppler radar system that operates in a portion of the X-band (8- to 12-GHz) region of the spectrum. It occupies

a volume of less than 0.13 cubic metre (4.6 cubic feet), weighs less than 164 kg (362 pounds), and requires an

input power of 5.6 kilowatts. It can search 120 degrees in azimuth and elevation and is supposed to have a range

of 35 nautical miles (65 km) in the “look-up” mode and 27.5 nautical miles (50 km) in the “look-down” mode.

The look-up mode is a more or less conventional radar mode with a low pulse-repetition-frequency (prf) that is

used when the target is at medium or high altitude and no ground-clutter echoes are present to mask target

detection. The look-down mode uses a medium-prf Doppler waveform and signal processing that provide target

detection in the presence of heavy clutter. (A low prf for an X-band combat radar might be from 250 hertz to 5

kHz, a medium prf from 5 to 20 kHz, and a high prf from 100 to 300 kHz.) Radars for larger combat aircraft can

have greater capability but are, accordingly, bigger and heavier than the system just described.
--------------------------------------------------------------------------------



ブリタニカに記載されたAN/APG-68の探知距離の数値はこうあります。

"It can search 120 degrees in azimuth and elevation and is supposed to have a range of 35 nautical miles (65 km)

in the “look-up” mode and 27.5 nautical miles (50 km) in the “look-down” mode."

F-16戦闘機のAN/APG-68はルックアップ時の探知距離が35nm(65km)、ルックダウン時の探知距離が27.5nm(50km)と記され

ています。つまりF-2搭載のJ/APG-1のルックダウン時の探知距離35nm(65km)という数値は、F-16搭載レーダーの性能を上回

っていると言えます。AN/APG-68はAN/APG-66と比べて探知距離が特に上がっているわけではないようで、戦闘機VSモードの最

大探知距離は同じ80nmです。またF/A-18Cの搭載するAN/APG-73レーダーも、対戦闘機の最大探知距離は80nmとされています。

(※ただこう考えると、3種のレーダーが全て同じ探知距離というのも不自然な話で、80nmという数値は本当の数値を隠すた

めの適当な数値である可能性もあります。レーダーの正確な性能は軍事機密であって当然です。しかしそれを言い出した

らJ/APG-1の35nm(ルックダウン時)という数値も本当かどうか怪しくなってきます。其処まで疑ったら考察自体が出来なく

なるので、今回の記事は「公表された数値は正しい」という前提で話を進めています。)

上記で挙げた英文ソースの数値の比率に従うならば、対戦闘機のルックダウンで35nmの探知距離があるJ/APG-1は、最大探知

距離で80nmを優に超えている事になります。AN/APG-68でルックダウン時の探知距離が27.5nm、最大探知距離は80nmですから

、35nmのルックダウン探知距離を持つJ/APG-1は最大探知距離102nm(189km)であると推定できます。

対戦闘機で最大探知距離が100nmを超えているとすると、J/APG-1の不具合という話は何処かへすっ飛んでしまうのでは・・・ル

ックダウンで35nmの探知距離という数値が本当であるならば、そう解釈する事になります。F-2のレーダー性能はF-16現行型

を完全に上回っています。

そしてそれを示唆するような話が、アメリカ軍司令官によるF-2への公式評価として出ています。米軍準機関紙「Stars &

Stripes」(星条旗新聞)に載った、F-2対F-16によるDACT(異機種間戦闘訓練)についての記事で当時、三沢の第五空軍司令

官だったトーマス・ワスコー中将のコメントにはこのようにあります。



USFJ Commander takes a spin in Japan's new F-2 fighter[July 8, 2004 Stars & Stripes]
--------------------------------------------------------------------------------
The U.S. commander said he was impressed with the F-2, which is designed and built by the Japanese. The aircraft

has some capabilities “that our aircraft does not,” Waskow said, mentioning the Active Electronically Scanned

Array radar, which has three times the range of a conventional antenna.
--------------------------------------------------------------------------------



ワスコー中将は“日本が設計したF-2に感動した、我々(のF-16)には無い幾つかの能力を持っている”と、AESA(Active

Electronically Scanned Array radar)を優位点とし、それは従来のレーダーに比べ3倍の捜索範囲を持っていると言及しま

した。

捜索範囲とは捜索距離とは異なるので、この証言を持って探知距離が長いとは言えませんが、少なくともF-16の搭載レーダー

よりも大きく劣るものがこのように褒められたりはしない筈です。ワスコー中将の意図が日本へのお世辞や本国アメリカへの

「F-16にもAESAを付けたい」という、おねだりのダシとしてF-2のJ/APG-1が褒められただけ、という可能性を否定はしません

が、この件に関し別方面から、純粋にJ/APG-1の性能がF-16搭載レーダーを上回っていた、とする話も出ています。



F-2 | Missle&Arms
--------------------------------------------------------------------------------
搭載レーダーであるJ/APG-1はアクティブ・フェイズド・アレイ方式によるパルス・ドップラー・レーダーで以下のような特徴を

備えている。

・多目標同時追尾
・対空・対艦同時捜索
・遠距離艦船探知
・高分解能グラウンド・マップ
・ルックダウン能力
・高ECCM能力
・小型・軽量、高信頼性、対環境性
・オフ・ボアサイト性(追跡時に脅威方向に対するレーダー反射面積が小さい事)

この中では特に高分解能に重きを置いていると思われ、レイド・アセスメント能力やグラウンド・マップの鮮明さは従来のもの

とは比較にならない程優れていると言われており、電子戦システムからの情報と併せて脅威目標の識別並びに優先度判定が行

える。この能力は目標の個艦識別能力を持つASM-2(93式空対艦誘導弾)の運用に当たって威力を発揮すると思われる。 またア

クティブ・フェイズド・アレイ方式は発射する電波のビームの生成が自由自在であり、ビームを細く絞ることによる遠距離探知

も可能である。(同じくアクティブ・フェイズド・アレイ方式を採用する米空軍のF-22に搭載されるAPG-77はこのモードを用い

て400kmという遠距離探知を行った事があると言う)また電子的にビームを振るため高速なスキャンが可能なためオフ・ボアサ

イト能力も優れていると予想され、格闘戦においても高い能力を発揮する筈である。また電子走査式の先進敵味方識別質問/

応答装置(AN/APX-113(V))を備えており、これは味方を探すレーダーと言って良い。(伝聞ではあるが、米軍三沢基地配

備のF-16Cとの演習において、F-16Cに探知される遥か以前に敵側のF-16Cをレーダーで探知可能であったと言う)
--------------------------------------------------------------------------------



この最後の部分の情報は伝聞に過ぎず、確定情報として扱う訳にはいかないのですが、このサイトの著者keenedge氏は防衛関

連の関係者であり、氏の伝聞情報は只のマニアの情報源とは一線を画しています。無視できるものではないでしょう。最近で

は一部で「F-2を擁護しているのはワスコー中将と週刊オブイェクトだけ」と揶揄されていますが、私などよりも以前か

らkeenedge氏はF-2を擁護されています。私は一介のマニアに過ぎませんが、当時現役の高級軍人だったワスコー中将(現在

は退役されている)と防衛関係者のkeenedge氏の証言は、F-2の本当の性能を伝える貴重な情報であると思います。

現在、F-2戦闘機はAAM-4(99式空対空誘導弾)の搭載改修を行う研究が済んでおり、同時にAAM-4の長射程を生かすべ

くJ/APG-1レーダーの視程延長改修も行っています。後は予算を付けて実戦部隊に配備しているF-2を順次、改修していきます





(PDF)平成15年度政策評価書(事前段階の事業評価):アクティブ・電波・ホーミング・ミサイル搭載に関する研究
--------------------------------------------------------------------------------
本研究は、F-2支援戦闘機を試験対象母機とし、アクティブ・電波・ホーミング・ミサイルを搭載した際、当該ミサイルの最

大性能を発揮するために必要となる機体の構成要素に関する研究(システム設計、レーダーの探知距離延伸等)を実施するも

のである。(その1)では、システム設計、レーダーのソフトウェア改修、レドーム(注2)改修等を、その2ではレーダー

のハードウェア改修、ミサイルの指令送信装置(注3)の改修等を、その3ではミサイル関連ソフトウェア、ハードウェア改

修等を実施する。

(注2)レドーム:レーダーアンテナを収容しているドーム
(注3)指令送信装置:ミサイルに対して目標情報等を送信するための装置
--------------------------------------------------------------------------------



戦闘機で敵巡航ミサイルを迎撃する場合はルックダウンでの戦闘になる上、しかも巡航ミサイルは戦闘機よりも小さな目標で

す。AAM-4の最大射程(100km以上)を生かすためには、F-2のルックダウンで35nm(65km)という探知距離は不足なのでしょ

う。このAAM-4搭載改修とJ/APG-1視程延長改修により、F-2の空戦性能は飛躍的に高まります。果たしてこのF-2のJ/APG-1改

が、F-16Block60のAESA(AN/APG-80)やF/A-18E Block2のAESA(AN/APG-79)に匹敵する性能かどうかは、全く情報が無いの

で何も分かりません。しかしF-16現行型のAN/APG-68やF/A-18CのAN/APG-73を改修前のJ/APG-1が上回っている以上、アメリカ

軍の最新型AESAに匹敵する性能の達成は、改修次第で可能であると思います。


ところで私も記事を執筆した航空情報8月号には、F-2のJ/APG-1レーダーに関する間違った考察が為されている記事が、幾つ

か散見されます。



大塚好古が考える「F-2改」の可能性 (航空情報 2009年8月号p22)
--------------------------------------------------------------------------------
本機は格闘戦であれば「F-22」を除く、F-X候補機を含めた現在各国で就役中の全戦闘機に負けないだけの能力はある。

その一方で、本機は開発時に要撃戦闘機としての運用は従とされたこともあり、FCSである「J/APG-1」レーダーは複数の目標

に対するルックダウン・シュートダウン機能を含めて、現代の要撃機に必要とされる機能は概ね付与されてはいるが、戦闘機

程度の目標に対する最大探知距離は35海里(約65km)程度(ルックダウン時:推定)と「F/A-18C」が搭載するAN/APG-73の約

80海里(約148km)に比べて短い。FCSの最大探知可能範囲が短いことは、視界外交戦時に不利となる。
--------------------------------------------------------------------------------



あの大塚好古さんと同じ雑誌に記事を書くという、大変光栄な事が出来てとても嬉しいのですが、大塚さんがこのような書き

方をするとは・・・少し残念です。ルックダウン時と通常時では探知距離に大きな違いが出てくるのに、混同して比較しても正

しい考察にはなりません。J/APG-1の35海里という数値はルックダウン時のものです。一方、AN/APG-73の80海里とは通常時の

数値です。AN/APG-73のルックダウン時の最大探知距離は、35海里前後かそれ以下であり、J/APG-1の方が探知距離は長いので

す。J/APG-1の探知距離がルックダウンで35海里であるという数値が正しいなら、そうなります。


あと、清谷信一さんの記事は相変わらずでした。



国内産業にとってのF-2改という選択肢 文;清谷信一(航空情報 2009年8月号p50)
--------------------------------------------------------------------------------
またレーダーにしてもJ/APG-1は世界初のアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーとして鳴り物入りで宣伝されたが、所定の

性能が獲得できていない。優秀なレーダーであったなら、なぜF-15の近代化改修で、このレーダーの改良型が採用されなかっ

たのだろうか。
--------------------------------------------------------------------------------



この清谷さんの考察は二つの点で的外れです。

まずF-15Jはライセンス生産であり、その契約上、勝手な改造は許されません。エンジンやレーダーを換装したい場合は、製

造元であるボーイングおよびアメリカ政府に許可を得る必要があります。最近ではBAEが日本の次期FX商戦で「ユーロファイ

ターならどんな改造もOK(ただし改修データは提出されたし)」と売り込みに来ていますが、逆に言えばこの条件が特典とな

るわけで、つまり通常のライセンス生産では勝手な改造は許されないのが普通である、という事なのです。

F-15J改修でAPG-63からAPG-63(V)1への換装となったのは、アメリカが自国製のレーダーを指定した事と、後は単に値段の関

係というだけです。AESAであるAPG-63(V)2とAPG-63(V)3は非常に高価であり(なおアメリカ軍初のAESAであるAPG-63(V)2は初

期不具合が出ており、実質上試験運用に留まり、APG-63(V)3で量産型となる)、これでF-15Jを近代化改修すると新造機が買

えそうな勢いになってしまうので、妥協して非AESAながらも優秀なAPG-63(V)1を選択しています。

さて、もしアメリカ側が快く承諾し、J/APG-1をF-15用に改修、つまりF-15に搭載可能なサイズのぎりぎりまで大型化したも

のが出来たとして、それってアメリカ製のAESAより安くなるでしょうか? ちょっと無理そうな気がします。だった

らAPG-63(V)1の選択は、ごく当然の結果ではないでしょうか。

そして二点目ですが、もう既に語ってしまっていますが、F-15とF-2では機首の大きさが違い、搭載レーダーの大きさも全然

変わってきます。大型戦闘機には大型レーダーが搭載され、小型戦闘機には小型レーダーが搭載されます。だから視界外戦闘

では大型戦闘機が強いのです。これはロシアの戦闘機、Su-27とMiG-29の搭載レーダーの関係でもそうです。清谷さんの言う

ような「F-2(小型戦闘機)のレーダーをF-15(大型戦闘機)に何故積まない?」という指摘は、そりゃ積まないのが当たり

前ですよ、と言うしかありません。

レーダーの探知距離はパネル面積の大きさが最も影響があり、大きいレーダーは探知距離が長くなります。もちろん出力の影

響もあります。大きなパネル面積も、大きな出力も、両方とも大型戦闘機の方が達成し易いのです。

そうするとF-2のJ/APG-1をF-15に搭載して有効に機能させる為には、大幅な改修を必要とします。レーダー自体を大型化させ

る必要があり、そのような大改修を行う開発費用と、AESAそのものの単価が高価であるという点を踏まえると、新造機に搭載

するならともかく既存機の改修に見あう程度の総費用に収まるとは思えません。アメリカ製のAESAですら値段の面でF-15J改

への搭載を断念したのに、それより高くなりそうな代物が採用される可能性はそもそもありませんでした。F-2戦闘機の搭載レーダーJ/APG-1については、あまり確かな情報が出ていません。初期不具合が伝えられていた頃は「戦闘機

サイズの目標で探知範囲が20nm程度しかない」という絶望的な数字が報道されていました。nmとはノーティカル・マイルの事

で海里(1.852km)の事ですから、20nmでは37km程度の探知距離しか無かった事になります。

ところが最近の情報ではJ/APG-1について「戦闘機サイズの目標で探知距離35nm(ルックダウン時)」という数値が出ていま

す。この数値が各航空専門誌で書かれています。ルックダウンで35nm(65km)の探知距離があるなら、通常高度への目標には

それ以上の探知距離を発揮できます。以下は参考までに、F-16の初期型に搭載されたレーダー、AN/APG-66のデータです。



APG-66(V) - Archived 10/2004 | Forecast International
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Range 80 nm (max)
Look-down 20 - 30 nm
Look-up 25 - 40 nm
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そして次はF-16に現在搭載されているAN/APG-68のデータです。ソースはブリタニカ百科事典電子版のレーダーの項目からで

す。



radar (electronics) :: Examples of radar systems -- Britannica Online Encyclopedia
--------------------------------------------------------------------------------
The AN/APG-68(V)XM radar built for the U.S. F-16 (C/D) fighter is shown in the photograph. This is a pulse

Doppler radar system that operates in a portion of the X-band (8- to 12-GHz) region of the spectrum. It occupies

a volume of less than 0.13 cubic metre (4.6 cubic feet), weighs less than 164 kg (362 pounds), and requires an

input power of 5.6 kilowatts. It can search 120 degrees in azimuth and elevation and is supposed to have a range

of 35 nautical miles (65 km) in the “look-up” mode and 27.5 nautical miles (50 km) in the “look-down” mode.

The look-up mode is a more or less conventional radar mode with a low pulse-repetition-frequency (prf) that is

used when the target is at medium or high altitude and no ground-clutter echoes are present to mask target

detection. The look-down mode uses a medium-prf Doppler waveform and signal processing that provide target

detection in the presence of heavy clutter. (A low prf for an X-band combat radar might be from 250 hertz to 5

kHz, a medium prf from 5 to 20 kHz, and a high prf from 100 to 300 kHz.) Radars for larger combat aircraft can

have greater capability but are, accordingly, bigger and heavier than the system just described.
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ブリタニカに記載されたAN/APG-68の探知距離の数値はこうあります。

"It can search 120 degrees in azimuth and elevation and is supposed to have a range of 35 nautical miles (65 km)

in the “look-up” mode and 27.5 nautical miles (50 km) in the “look-down” mode."

F-16戦闘機のAN/APG-68はルックアップ時の探知距離が35nm(65km)、ルックダウン時の探知距離が27.5nm(50km)と記され

ています。つまりF-2搭載のJ/APG-1のルックダウン時の探知距離35nm(65km)という数値は、F-16搭載レーダーの性能を上回

っていると言えます。AN/APG-68はAN/APG-66と比べて探知距離が特に上がっているわけではないようで、戦闘機VSモードの最

大探知距離は同じ80nmです。またF/A-18Cの搭載するAN/APG-73レーダーも、対戦闘機の最大探知距離は80nmとされています。

(※ただこう考えると、3種のレーダーが全て同じ探知距離というのも不自然な話で、80nmという数値は本当の数値を隠すた

めの適当な数値である可能性もあります。レーダーの正確な性能は軍事機密であって当然です。しかしそれを言い出した

らJ/APG-1の35nm(ルックダウン時)という数値も本当かどうか怪しくなってきます。其処まで疑ったら考察自体が出来なく

なるので、今回の記事は「公表された数値は正しい」という前提で話を進めています。)

上記で挙げた英文ソースの数値の比率に従うならば、対戦闘機のルックダウンで35nmの探知距離があるJ/APG-1は、最大探知

距離で80nmを優に超えている事になります。AN/APG-68でルックダウン時の探知距離が27.5nm、最大探知距離は80nmですから

、35nmのルックダウン探知距離を持つJ/APG-1は最大探知距離102nm(189km)であると推定できます。

対戦闘機で最大探知距離が100nmを超えているとすると、J/APG-1の不具合という話は何処かへすっ飛んでしまうのでは・・・ル

ックダウンで35nmの探知距離という数値が本当であるならば、そう解釈する事になります。F-2のレーダー性能はF-16現行型

を完全に上回っています。

そしてそれを示唆するような話が、アメリカ軍司令官によるF-2への公式評価として出ています。米軍準機関紙「Stars &

Stripes」(星条旗新聞)に載った、F-2対F-16によるDACT(異機種間戦闘訓練)についての記事で当時、三沢の第五空軍司令

官だったトーマス・ワスコー中将のコメントにはこのようにあります。



USFJ Commander takes a spin in Japan's new F-2 fighter[July 8, 2004 Stars & Stripes]
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The U.S. commander said he was impressed with the F-2, which is designed and built by the Japanese. The aircraft

has some capabilities “that our aircraft does not,” Waskow said, mentioning the Active Electronically Scanned

Array radar, which has three times the range of a conventional antenna.
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ワスコー中将は“日本が設計したF-2に感動した、我々(のF-16)には無い幾つかの能力を持っている”と、AESA(Active

Electronically Scanned Array radar)を優位点とし、それは従来のレーダーに比べ3倍の捜索範囲を持っていると言及しま

した。

捜索範囲とは捜索距離とは異なるので、この証言を持って探知距離が長いとは言えませんが、少なくともF-16の搭載レーダー

よりも大きく劣るものがこのように褒められたりはしない筈です。ワスコー中将の意図が日本へのお世辞や本国アメリカへの

「F-16にもAESAを付けたい」という、おねだりのダシとしてF-2のJ/APG-1が褒められただけ、という可能性を否定はしません

が、この件に関し別方面から、純粋にJ/APG-1の性能がF-16搭載レーダーを上回っていた、とする話も出ています。



F-2 | Missle&Arms
--------------------------------------------------------------------------------
搭載レーダーであるJ/APG-1はアクティブ・フェイズド・アレイ方式によるパルス・ドップラー・レーダーで以下のような特徴を

備えている。

・多目標同時追尾
・対空・対艦同時捜索
・遠距離艦船探知
・高分解能グラウンド・マップ
・ルックダウン能力
・高ECCM能力
・小型・軽量、高信頼性、対環境性
・オフ・ボアサイト性(追跡時に脅威方向に対するレーダー反射面積が小さい事)

この中では特に高分解能に重きを置いていると思われ、レイド・アセスメント能力やグラウンド・マップの鮮明さは従来のもの

とは比較にならない程優れていると言われており、電子戦システムからの情報と併せて脅威目標の識別並びに優先度判定が行

える。この能力は目標の個艦識別能力を持つASM-2(93式空対艦誘導弾)の運用に当たって威力を発揮すると思われる。 またア

クティブ・フェイズド・アレイ方式は発射する電波のビームの生成が自由自在であり、ビームを細く絞ることによる遠距離探知

も可能である。(同じくアクティブ・フェイズド・アレイ方式を採用する米空軍のF-22に搭載されるAPG-77はこのモードを用い

て400kmという遠距離探知を行った事があると言う)また電子的にビームを振るため高速なスキャンが可能なためオフ・ボアサ

イト能力も優れていると予想され、格闘戦においても高い能力を発揮する筈である。また電子走査式の先進敵味方識別質問/

応答装置(AN/APX-113(V))を備えており、これは味方を探すレーダーと言って良い。(伝聞ではあるが、米軍三沢基地配

備のF-16Cとの演習において、F-16Cに探知される遥か以前に敵側のF-16Cをレーダーで探知可能であったと言う)
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この最後の部分の情報は伝聞に過ぎず、確定情報として扱う訳にはいかないのですが、このサイトの著者keenedge氏は防衛関

連の関係者であり、氏の伝聞情報は只のマニアの情報源とは一線を画しています。無視できるものではないでしょう。最近で

は一部で「F-2を擁護しているのはワスコー中将と週刊オブイェクトだけ」と揶揄されていますが、私などよりも以前か

らkeenedge氏はF-2を擁護されています。私は一介のマニアに過ぎませんが、当時現役の高級軍人だったワスコー中将(現在

は退役されている)と防衛関係者のkeenedge氏の証言は、F-2の本当の性能を伝える貴重な情報であると思います。

現在、F-2戦闘機はAAM-4(99式空対空誘導弾)の搭載改修を行う研究が済んでおり、同時にAAM-4の長射程を生かすべ

くJ/APG-1レーダーの視程延長改修も行っています。後は予算を付けて実戦部隊に配備しているF-2を順次、改修していきます





(PDF)平成15年度政策評価書(事前段階の事業評価):アクティブ・電波・ホーミング・ミサイル搭載に関する研究
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本研究は、F-2支援戦闘機を試験対象母機とし、アクティブ・電波・ホーミング・ミサイルを搭載した際、当該ミサイルの最

大性能を発揮するために必要となる機体の構成要素に関する研究(システム設計、レーダーの探知距離延伸等)を実施するも

のである。(その1)では、システム設計、レーダーのソフトウェア改修、レドーム(注2)改修等を、その2ではレーダー

のハードウェア改修、ミサイルの指令送信装置(注3)の改修等を、その3ではミサイル関連ソフトウェア、ハードウェア改

修等を実施する。

(注2)レドーム:レーダーアンテナを収容しているドーム
(注3)指令送信装置:ミサイルに対して目標情報等を送信するための装置
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戦闘機で敵巡航ミサイルを迎撃する場合はルックダウンでの戦闘になる上、しかも巡航ミサイルは戦闘機よりも小さな目標で

す。AAM-4の最大射程(100km以上)を生かすためには、F-2のルックダウンで35nm(65km)という探知距離は不足なのでしょ

う。このAAM-4搭載改修とJ/APG-1視程延長改修により、F-2の空戦性能は飛躍的に高まります。果たしてこのF-2のJ/APG-1改

が、F-16Block60のAESA(AN/APG-80)やF/A-18E Block2のAESA(AN/APG-79)に匹敵する性能かどうかは、全く情報が無いの

で何も分かりません。しかしF-16現行型のAN/APG-68やF/A-18CのAN/APG-73を改修前のJ/APG-1が上回っている以上、アメリカ

軍の最新型AESAに匹敵する性能の達成は、改修次第で可能であると思います。


ところで私も記事を執筆した航空情報8月号には、F-2のJ/APG-1レーダーに関する間違った考察が為されている記事が、幾つ

か散見されます。



大塚好古が考える「F-2改」の可能性 (航空情報 2009年8月号p22)
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本機は格闘戦であれば「F-22」を除く、F-X候補機を含めた現在各国で就役中の全戦闘機に負けないだけの能力はある。

その一方で、本機は開発時に要撃戦闘機としての運用は従とされたこともあり、FCSである「J/APG-1」レーダーは複数の目標

に対するルックダウン・シュートダウン機能を含めて、現代の要撃機に必要とされる機能は概ね付与されてはいるが、戦闘機

程度の目標に対する最大探知距離は35海里(約65km)程度(ルックダウン時:推定)と「F/A-18C」が搭載するAN/APG-73の約

80海里(約148km)に比べて短い。FCSの最大探知可能範囲が短いことは、視界外交戦時に不利となる。
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あの大塚好古さんと同じ雑誌に記事を書くという、大変光栄な事が出来てとても嬉しいのですが、大塚さんがこのような書き

方をするとは・・・少し残念です。ルックダウン時と通常時では探知距離に大きな違いが出てくるのに、混同して比較しても正

しい考察にはなりません。J/APG-1の35海里という数値はルックダウン時のものです。一方、AN/APG-73の80海里とは通常時の

数値です。AN/APG-73のルックダウン時の最大探知距離は、35海里前後かそれ以下であり、J/APG-1の方が探知距離は長いので

す。J/APG-1の探知距離がルックダウンで35海里であるという数値が正しいなら、そうなります。


あと、清谷信一さんの記事は相変わらずでした。



国内産業にとってのF-2改という選択肢 文;清谷信一(航空情報 2009年8月号p50)
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またレーダーにしてもJ/APG-1は世界初のアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーとして鳴り物入りで宣伝されたが、所定の

性能が獲得できていない。優秀なレーダーであったなら、なぜF-15の近代化改修で、このレーダーの改良型が採用されなかっ

たのだろうか。
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この清谷さんの考察は二つの点で的外れです。

まずF-15Jはライセンス生産であり、その契約上、勝手な改造は許されません。エンジンやレーダーを換装したい場合は、製

造元であるボーイングおよびアメリカ政府に許可を得る必要があります。最近ではBAEが日本の次期FX商戦で「ユーロファイ

ターならどんな改造もOK(ただし改修データは提出されたし)」と売り込みに来ていますが、逆に言えばこの条件が特典とな

るわけで、つまり通常のライセンス生産では勝手な改造は許されないのが普通である、という事なのです。

F-15J改修でAPG-63からAPG-63(V)1への換装となったのは、アメリカが自国製のレーダーを指定した事と、後は単に値段の関

係というだけです。AESAであるAPG-63(V)2とAPG-63(V)3は非常に高価であり(なおアメリカ軍初のAESAであるAPG-63(V)2は初

期不具合が出ており、実質上試験運用に留まり、APG-63(V)3で量産型となる)、これでF-15Jを近代化改修すると新造機が買

えそうな勢いになってしまうので、妥協して非AESAながらも優秀なAPG-63(V)1を選択しています。

さて、もしアメリカ側が快く承諾し、J/APG-1をF-15用に改修、つまりF-15に搭載可能なサイズのぎりぎりまで大型化したも

のが出来たとして、それってアメリカ製のAESAより安くなるでしょうか? ちょっと無理そうな気がします。だった

らAPG-63(V)1の選択は、ごく当然の結果ではないでしょうか。

そして二点目ですが、もう既に語ってしまっていますが、F-15とF-2では機首の大きさが違い、搭載レーダーの大きさも全然

変わってきます。大型戦闘機には大型レーダーが搭載され、小型戦闘機には小型レーダーが搭載されます。だから視界外戦闘

では大型戦闘機が強いのです。これはロシアの戦闘機、Su-27とMiG-29の搭載レーダーの関係でもそうです。清谷さんの言う

ような「F-2(小型戦闘機)のレーダーをF-15(大型戦闘機)に何故積まない?」という指摘は、そりゃ積まないのが当たり

前ですよ、と言うしかありません。

レーダーの探知距離はパネル面積の大きさが最も影響があり、大きいレーダーは探知距離が長くなります。もちろん出力の影

響もあります。大きなパネル面積も、大きな出力も、両方とも大型戦闘機の方が達成し易いのです。

そうするとF-2のJ/APG-1をF-15に搭載して有効に機能させる為には、大幅な改修を必要とします。レーダー自体を大型化させ

る必要があり、そのような大改修を行う開発費用と、AESAそのものの単価が高価であるという点を踏まえると、新造機に搭載

するならともかく既存機の改修に見あう程度の総費用に収まるとは思えません。アメリカ製のAESAですら値段の面でF-15J改

への搭載を断念したのに、それより高くなりそうな代物が採用される可能性はそもそもありませんでした。
昏 也不翻译下
这个不是航空情报上的文章,而是品论航空情报文章的网络论坛文章。
真看不懂,楼主你高估我的能力了